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 仙台の服部です!(第9信)  服部 豪志      2011/06/09 (木) 14:48      [返信]
仙台の服部です!

私の会社は商売柄、3年に一度くらい仙台市(消防局)の立入りが入ります。
去年の立入りの際、近年ガスや石油の燃焼機器の誤った使用方法によるCO中毒事故が多いということで「学校教育の場でふだんの生活に必要な安全教育が行えないか」という提案をしてみたところ「なるほど、それはいいですね」と担当官が感心したようにメモっていましたが…

今回の大震災をうけて、平時における生活の安全の他に、防災や防犯、災害時においてわが身を護る術等など、もっともっと広い意味での安全教育が必要になってくるのではないかと思います。
それは意識としてしっかり根付くように長い時間をかけて、可能であれば現地実習してもいい。実際に被災地を訪ねて地震の恐ろしさ、津波の恐ろしさを実感して欲しい。
しかしながら、それが一種のマニュアルっぽいものになってもいけない。
その時々の自身の判断(選択)が本当に生死を分かつ場合だってあるんです。それは一種の“勘”というものかも知れません。
地震の後大津波警報が出たので、とりあえず高台の避難先に逃れたけれど「一向に津波なんか来ないじゃないか」と避難先を離れて自宅や職場に戻ろうとして犠牲になった、もし高台に残っていたら助かっていた命…それが何と多かったことか。
ここ数年何かとご一緒することが多かった石巻の同業仲間にも、そのようなことで亡くなった方がいらっしゃいます…

先人の経験や地域に伝わる言い伝えのようなものでも大いに教訓を含んでいたりします。
いまの小学校で郷土史のようなものを取り扱うか分かりませんが、そういうものに地域の災害史を含めてもよいかも知れません。

何十年かに一度、或いは自分が生きている間にあるかないかわからない災害のために…という考えも確かにありますが、日本は紛れもなく地震国であり火山国であり津波国です。日本全国常に災害発生の危険性に脅かされております。
防災についての認識を、もっともっと国民全体として高めていくべきだと思います。



さて、あちらこちら公園に仮設住宅が建ち始めております。

震災直後、宮城県では2万戸以上(後に3万戸)の仮設住宅の建設が計画されました。
仙台市においては3千戸が必要とされ、まず「あすと長町(ながまち)」(仙台の副都心とするべく大規模な再開発が進行している地区です)のなかに用地を確保し1千戸の住宅を建てたのですが…

仮設住宅に入らず、様々な理由で民間の賃貸住宅を探して入居する傾向にあります。
まず、避難所暮らしが困難な高齢者のある世帯である程度金銭的に余裕があるところですね。
いち早く家族のプライバシーの守られる環境を取り戻したいという思いもあります。
そもそも仙台圏は賃貸住宅の供給が近年過剰気味となっておりますので、選り好みしなければ即入居可なんですね。
地域的に賃貸住宅が少ない女川や東松島からの被災者も仙台市内の賃貸住宅に入居するというケースも目立つようになりましたね。

また、仮設住宅=無料、賃貸住宅=有料というのも支援対策として不公平感があるということで、後に入居者が手続きすることによって県がこれを借り上げて仮設住宅の代替とする(家賃は県が支払う)ことができるようになりました。知り合いの不動産屋さんがいうには「手続きが結構面倒臭い」とのことです。

仮設住宅は(国の予算を以て)県が注文し、運用は各市町村に委ねられております。
入居者募集のあり方も然り。
仙台市においては「コミュニティー申込」
を優先的に受け付けております。これは5世帯(第1次募集は10世帯)以上でグループをつくり(大抵はもとのご近所さんや親類・友人同士のグループということになります)、グループ毎に入居を申込み、入居が決定したら同じグループが隣近所になるように住宅を割り当てるというものです。
これは、阪神淡路の折に仮設住宅に入居した単身高齢者が人知れず“孤独死”するケースがよく見られました。それを防止する意味でこの「コミュニティー申込」を優先させるということなのですが、そのグループづくりの輪にどうしても入り込めずに取り残されてしまう人(世帯)っていたりしますよね。ふだんから余り近所付き合いをしてこなかったり、或いは「あそこの旦那さん、酒癖が悪いのよね」とか避難所での家族の素行が理由でグループに交ぜてもらえなかったり…
逆に人間関係の悪化からグループから抜け出てしまうということもあるから、まあムズカシイですね。
(もちろん「世帯単独」での申込も可能なのですが、高齢者・障害者のある世帯が優先されます)

それから、仙台市内の被災は宮城野区と若林区の沿岸部に集中しております。
仮住まいするにしても、もともと住んでいた住居に近い方がよいということですね。
現在避難所にいる人のほとんどは日常的に家財の整理のために被災したわが家に通っています。
子供がいれば学校の問題もあります。こういった状況なのでなるべく転校はさせたくない。先生、友達…従来の環境をそのままにしてあげたいというのが親心なのでしょうか。
(学校自体が近隣の学校に間借りしているケースもみられますが…)
前述のあすと長町(太白区)ではやはり遠いですね。

以上のような理由で、せっかく建てた仮設住宅が半分近くまだ入居されていないままなんですね。(そのまま放置されるかも…)

入居が進まない理由でもう一つ挙げるとすれば、仮設住宅に入居すれば避難所では存分に受けることができた物資等の支援が受けれなくなってしまう。食費や水道光熱費を自分で何とかしなければならない。(まさに放り出されてしまうということでしょうか)市としては仮設住宅ができた以上は早期に避難所を閉鎖したいというところなのですが、高齢者の単身世帯など現実として厳しいケースもありますね…
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